原油は株式や為替同様に、日々動きがありその価格差を利用した投資により利益を得ることが可能です。
実は原油価格の動きは株式などに比べて激しく、かつ少額からでも投資できることから、自己資金の少ない初心者の方でも大きな利益を得ることもできます。
そこで本記事では原油についてはもちろん、具体的な投資の方法について投資初心者の方でもわかりやすく解説していきます。
原油投資とはどんな投資?
原油投資とは冒頭でもお伝えしたとおり、原油価格の変動を利用して利益を得る投資のことです。
原油は世界中で需要があることから価格変動が激しく、かつ産油国が生産する原油供給量によっても価格は変化します。
それではまず原油価格の特徴から深く見ていきましょう。
原油価格の特徴
原油価格は基本的に「需要」と「供給」でその価格が決まります。
まず需要についてですが、原油は私たちが普段利用している電気はもちろん、車やバイクで利用されるガソリンやペットボトル、服の繊維などにも利用されています。
つまりエアコンの使用頻度が増す夏場や冬場、そしてレジャー需要が増して車の利用が多くなる大型連休などでは原油価格は上昇する傾向があるのです。
一方で、原油価格は供給についても注目しておく必要があります。特に産油国の原油生産量についてはよくチェックしておくといいでしょう。
実は産油国にはOPEC(石油輸出国機構)という国際石油資本などから石油産出国の利益を守るための組織があり、彼らは定期的に会合を開き、原油生産量を調整しています。
たとえば原油価格が落ち込んでいれば生産量を抑え価格を釣り上げる、逆に原油価格が高騰していれば原油生産量を増やして利益を追い求めるなどです。
そしてOPECの中でも原油生産量が多い国は必然的に発言権が強くなるため、どの国が原油生産量が多いのかも注目しておく必要があります。
下記の表は1日あたりの原油生産量が多い国ランキングです。
引用:外務省
この結果を見て驚かれた方も多いのではないでしょうか?
実は世界で最も原油を生産しているのはアメリカなのです。
2位のサウジアラビアは産油国としてのイメージが強いですが、3位はロシア、4位はカナダと少し意外な結果かもしれませんね。
なお産油国上位の中でもアメリカ、ロシア、カナダはOPECに加盟していません。
つまり現在の原油価格は、OPEC加盟国よりも非加盟国の方が生産量が多い傾向にあり、アメリカをはじめとする国の動向に注目しておく必要があるのです。
たとえばOPECで来月からの生産を日量◯◯バレルに抑えましょう、と決めてもアメリカやロシアがそれ以上に生産してしまえば原油価格の操作は不可能になります。
それでも最近ではOPEC加盟国と非加盟国が連携して、原油価格の調整をする機会も増えています。
このように原油生産量が多い国がどのような国なのかと、OPECに加盟しているのかについても理解しておくことで、原油価格の動向を探ることができます。
それでは続いて実際に原油に投資をする方法をご紹介します。
原油投資の方法とは?
原油投資には主に下記5つの投資方法があります。
- ETF
- CFD
- 関連株
- 投資信託
- 商品先物
個人投資家にとって、原油そのものに投資をすることは簡単ではないですよね。皆さんの周りの方で原油に投資している人はほとんどいらっしゃらないと思います。
実は原油に直接投資はできませんが、原油価格に連動した商品や、関連した株式に投資することは可能です。
中でも原油投資初心者の方におすすめしたい商品が「原油ETF」と「原油CDF」です。
以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。
原油ETFは初心者の登竜門
原油ETFとは証券取引所に上場している原油にまつわる投資信託です。金融機関の証券口座を保有していれば、誰でも原油ETFに投資ができますよ。
まずはETFについて解説します。
ETFとは「上場投資信託」といわれ、仕組みは投資信託と同じですが、株式のようにリアルタイムで取引ができる特徴があります。
そして原油ETFは一般的な投資信託の金融商品と比較すると手数料を抑えた投資が可能です。
そもそも原油ETFのみならず、ETFそのものが手数料が安い特徴があるためです。
一般的な投資信託では、購入時に発生する販売手数料や、運用中に発生する信託報酬、そして解約時に発生する信託財産留保額があります。
このような投資信託では投資家は基本的に買ってから放置でよく、プロの投資家が運用するため、どうしても手数料が割高になってしまいますからね。
一方で、ETFの場合は直接原油を買い付けるのはプロの投資家ですが、日々の価格動向を見て売買するのは私達投資家です。
つまり一般的な投資信託のように、「放置しても利益がでる」投資商品ではない点に注意が必要ですね。
それでも投資の実質的なリターンに影響する手数料が抑えられるという点においては、原油ETFは初心者にはピッタリな投資方法なのではないでしょうか?
投資金額は複数の原油ETFがあり一概にいくらとはいえませんが、どれも1万円前後から購入できます。
ただし原油ETFの注意点として、取引時間に制限があることに注意しましょう。
そもそも原油ETFは証券取引所が空いている時間しか取引することができません。証券取引所は平日の9:00~11:30と12:30~15:00が営業時間です。
つまり日中お仕事をされている方にとっては、いわゆる数分単位で取引する「デイトレード」などをすることは難しいですね。
では平日忙しい会社員の方でも、夜間に取引することができる原油投資はあるのでしょうか?
原油CDFは夜間でも取引可能
CFDとは、取引開始時の価格と取引終了時の差額分を決済する投資方法のことです。
そして原油価格に連動したCFDが、原油CFDとなります。
仕組みはFXとほとんど同じで、取引の際に証拠金を預けて銘柄を売買し、その差額が損益になります。
なおFXについては、以下のページで詳しく書いていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
>>FXの記事内部リンク
そして原油CFDの特徴は「24時間取引可能」と「レバレッジがかけられる」という、原油ETFにはない特徴があります。
まず24時間取引可能についてですが、そもそもCFDが24時間取引が可能な商品で、日本の祝日や深夜の時間帯でも海外市場が空いていれば取引をすることができます。
この点は平日の日中が忙しく、夜間や祝日、休日での取引しかできない方にとってはありがたいですよね。
さらに原油ETFはFX同様にレバレッジがかけられるという特徴もあります。
レバレッジと聞くと「リスクが高い」というイメージを持たれる方も多いですが、単純にそうではなく、むしろ少ない自己資金で大きな利益を得ることができるのです。
たとえばレバレッジが1000倍であれば、自己資金が1000円であっても100万円分の原油CFDの取引をすることになります。
もちろん利益も1000倍となるため、レバレッジをかけていない時の利益が10円であってもレバレッジをかければ同じ取引をすれば1万円の利益となるわけです。
これは自己資金が少ない投資家にとっては大きなメリットですよね。
ただしレバレッジをかければ利益は大きくなりますが、その分損失も大きくなる点に注意しておきましょう。
それでもレバレッジをかけすぎて借金を背負うことは基本的になく、一定の損失が出てしまっても強制的にロスカットして決済してくれますよ。
ロスカットされすぎてしまうと思うように利益が得られないジレンマに陥ってしまいますが…。
そのためレバレッジをかけて取引を行う際には資金管理を徹底するようにしましょう。
また原油CFDは証拠金をもとにした信用取引なので、取引業者にある一定水準以上の担保となる証拠金を入れておく必要があります。
この証拠金が取引業者の定めた必要証拠金の水準を下回った際には、追加証拠金を支払わなければなりません。
追加証拠金の支払いを回避するためにも、自分でロスカットのルールを定めるなどをして取引を行うと良いでしょう。
まとめ:原油投資の展望
原油価格は2021年7月現在、約6年8ヶ月ぶりの高値となる1バレル=77ドル近くで推移しています。
これを受け、OPECプラス(OPEC非加盟国のロシア等を含む)は7月5日に開いた会合を開きましたが、増産に合意できませんでした。
OPECプラスの会合では全会一致が基本で、どこかの国が反対意見を出せば合意することはありません。
そのため、OPECプラス内で対立が長期化した場合、原油価格が不安定になり、金融市場の動揺につながる恐れがあります。
また世界的に、温室効果ガスを排出しない脱炭素の流れが強まっていることもあり今後の原油需要に対する懸念も伺えます。
このように近年の原油価格は、需要側の問題というよりも供給側の問題が大きく影響するため、価格動向についてはOPEC加盟国の要人発言に注目しておく必要があります。
それでもこれは長期で原油価格を見た場合であり、短期(数日から1ヶ月)でのトレードの場合は大きく影響しにくいです。
ただし、どのような投資でもいえることですが、短期的な目線だけではなく長期的な目線も配慮しておきましょう。
長期的に見て上昇トレンドが続くのであれば、多少短期的に損失が生じても保有し続ければいいですからね。
なお、もし原油投資を始める場合は、まずは少額から始めて見るといいでしょう。投資対象はETFでもCFDでも大丈夫です。
まずは少額から始めて価格変動がどれくらいなのかを理解し、加えてOPECの会合など原油価格に影響がありそうなニュースには注目しておく必要がありますね。